はじめに
- Qマイクロチップを装着していれば飼い主の情報とかわかるし、鑑札はいらない?
- A
マイクロチップを装着しており、登録まで済んでいれば鑑札は不要です。
鑑札は狂犬病予防法で定められており、犬を登録することで登録したという証として交付されるものです。
同法では鑑札をつけなければいけないと規定されています。鑑札をつけていることで、「この犬は登録されているんだ」と外見から簡単にわかることができます。
第四条 犬の所有者は、犬を取得した日(生後九十日以内の犬を取得した場合にあつては、生後九十日を経過した日)から三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長(特別区にあつては、区長。以下同じ。)に犬の登録を申請しなければならない。ただし、この条の規定により登録を受けた犬については、この限りでない。
2 市町村長は、前項の登録の申請があつたときは、原簿に登録し、その犬の所有者に犬の鑑札を交付しなければならない。
3 犬の所有者は、前項の鑑札をその犬に着けておかなければならない。
狂犬病予防法 | e-Gov法令検索
しかし、マイクロチップが導入されてから犬の登録はマイクロチップとの紐づけで行われるようになっています。では、マイクロチップでの登録はしているので鑑札は付けなくても良いのでしょうか。
本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。
ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。
本コラムではマイクロチップを装着している犬は鑑札をつけなくても良いのか解説いたします。
結論を言うと、つけなくて良いです。ただし、マイクロチップが装着されているだけではダメで、登録まで終わらせないといけません。
マイクロチップの装着・登録と特例制度
動物愛護法の規定
マイクロチップを装着し、登録を行うことで鑑札の代わりとすることができます。
第三十九条の七動物の愛護及び管理に関する法律 | e-Gov法令検索
(中略)
2 前項の規定により市町村長が通知を受けた場合における狂犬病予防法第四条の規定の適用については、当該通知に係る犬の所有者が当該犬に係る登録又は変更登録を受けた日において、当該犬の所有者から同条第一項の規定による犬の登録の申請又は同条第五項の規定による届出があつたものとみなし、当該犬に装着されているマイクロチップは、同条第二項の規定により市町村長から交付された鑑札とみなす。
狂犬病予防法の特例制度
マイクロチップ装着及び登録により鑑札を装着しなくてもよいのは狂犬病予防法の特例制度です。この制度に参加している市区町村であればマイクロチップへの登録を鑑札に代えることができます。参加していない市区町村は従来通り登録を行い、鑑札を犬に装着しなければいけません。
マイクロチップの装着を希望しない場合
犬猫等販売業者は、犬や猫にマイクロチップを装着することが義務となっています。よって、ペットショップ等でお迎えした場合は、マイクロチップが既に装着されているので登録情報の変更を行うだけで済みます。
しかし、個人等はマイクロチップの装着は努力義務であり、法的義務ではありません。よって、マイクロチップの装着を希望しない場合は、従来通りの登録を行い、鑑札を犬に付けなければいけません。
狂犬病予防注射の注射済票
鑑札と共に狂犬病予防注射の注射済票も犬に装着することが義務付けられています。
鑑札がマイクロチップの導入で装着不要になったので、注射済票も装着しなくていいのかと思われるかもしれませんが、注射済票は従来通り装着しなければいけません。
狂犬病予防注射は毎年行うものですので、その度に注射済票を新しいものに交換しましょう。
おわりに
本コラムではマイクロチップを装着している犬は鑑札をつけなくても良いのか解説いたしました。
マイクロチップの導入で犬の登録や、登録情報変更が行いやすくなりました。それに伴い、従来の鑑札は付ける必要がなくなりました。そもそもペットショップ等でお迎えした場合は鑑札の存在すらご存知ない方もいるのではないかと思います。
鑑札には特例がありますが、狂犬病予防注射の注射済票は従来通りつける必要がありますので忘れずにつけておきましょう。