はじめに
- Qペットが傷をつけたという理由で賃貸の退去時に原状回復費用として高額請求されたけど仕方ないの?
- A
通常の使用による損耗は借り主に原状回復義務はありません。それ以外の傷などは敷金からあてがわれます。敷金をどのように使用したのか不明瞭な場合は敷金返還請求を行うことも考慮してください。
ペット可の賃貸物件から退去するときに思ってもないほど高額な原状回復費用を請求されたり、敷金を返してくれないといったトラブルは増えています。ペットがつけた傷だからという理由をつけられて仕方なく諦めてしまったということもあるかもしれません。
本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。
ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。
本コラムではペット可の賃貸物件における敷金や原状回復に関するトラブルについて解説します。読んでいただくことで対処法を知ることができます。
結論を言うと、敷金の返却がされない場合や、過剰な原状回復費用の請求に対しては内容証明郵便で解決できる可能性があります。
敷金について
敷金は全額返金が原則
そもそも敷金とは、借り主の賃料の不払いや故意、過失等による部屋の破損、汚れ等に備えて貸主が一旦預かっておくお金であり、そういったことがあれば敷金からあてがわれますが、特になければ退去時に全額返金するのが原則です。
また、建物の経年劣化や通常の使用による損耗は借り主に原状回復の義務はないとされています。テーブルを置いていたことによる床の僅かな凹みや、畳の摩耗等については通常使用の範囲であれば原状回復義務はありません。
ペットによる破損
ペットが壁を引っ掻いて剥がれてしまった場合や床に爪の傷跡ができてしまった場合などは敷金からその修繕が行われます。ペット可の賃貸の場合、敷金を2倍要求する場合もあり、修繕に敷金を超えてかかることは考えづらいため、原状回復として過剰な金額を請求された場合は内訳を要求し、確認するようにしてください。
例えば壁紙 (クロス) はペットが引っ掻いて傷つけてしまうことが多い箇所かと思いますが、6年で減価償却され価値は1円になります。よって6年そこに住んでいればクロスを傷つけてしまっても修繕費は1円です。
契約書をチェック
気をつけるべきなのは契約書に敷金は償却100%とある場合です。この場合は敷金は貸主に渡り、退去時に借り主に返す必要はなくなります。礼金と同じ扱いと考えてください。
不当な請求への対策
敷金返還請求を内容証明郵便で行う
もし、敷金を返してくれなかったり、原状回復という理由で不必要に請求された場合は何ができるでしょうか。最も一般的な方法は敷金返還請求を行うことです。これを内容証明郵便で行うと効果的です。内容証明郵便とは「だれ」が「だれ」に「いつ」、「どんな内容」の文書を送ったかが客観的に証明できるものです。堅い文書として送れるため、相手には心理的プレッシャーを与えることができます。
いきなり裁判で争う手もありますが、弁護士費用など高額になります。その点内容証明郵便であれば少額で済みますし、これだけで解決することもあります。当事務所にご依頼いただいた場合は内容証明郵便に行政書士事務所の名前、行政書士の名前、職印が押された状態で発送します。相手にはより「無視したらまずそう」という印象を与えることができます。
おわりに
本コラムではペット可賃貸物件の原状回復で知っておくべき注意点と対策に関して解説いたしました。
敷金等に関する事項は知らない人が多く、不動産屋も教えてくれません。それ故、あまりよくわからないうちに請求されて払ってしまったということにならないように本コラムの情報を覚えておいて下さい。