動物愛護法改正内容をわかりやすく解説

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動物愛護法の改正

Q
改正動物愛護法って何が変わったの?
A

種々の規制がより具体的に、マイクロチップの義務化や罰則の厳罰化等が主な改正点です。

令和元年 (2019年) 6月に動物愛護法改正が行われました (施行はその後)。内容は主に動物取扱業者に対する規制の強化や、より動物を適正に管理する方針となります。

本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。

ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。

本コラムでは動物愛護法の改正点の一部を解説いたします。

改正内容

第一種動物取扱業の登録拒否理由が厳しくなった

第一種動物取扱業の登録申請をした際、特定の理由がある場合は登録を拒否しなければいけません。その際の拒否理由が厳しくなっています。

特定の条件に当てはまると既にされた登録を取り消されることがあります (第十九条第一項)。その後再度登録を受けようとした際には取り消しの処分があってから2年経過しなければいけなかったものが5年経過しなければいけないというように厳しくなっています。

また、改正前には無かった「禁錮以上の刑に処された場合は、執行が終わったor執行を受けることがなくなったときから5年」を経過しないと拒否されるという規定が追加されました。

基準遵守義務の新設

新たに飼養施設や設備、従業員数、保管や管理に関して、輸送の方法、繁殖の回数などを動物の種類等によって定めるよう規定し遵守義務を設けました。

また、詳細を省令に分けておりますが、ここではケージの大きさや清掃の回数、従業員の数、出産の回数などを非常に具体的な数字を以て規定しています (数値基準)。具体的な数字を以て規制することで違反しているかどうかをより明確に判断することができるようになりました。

帳簿の備え付け義務

動物販売業者等に、所有する動物の所有した日、販売や引き渡した日、死亡した日などを帳簿に記載し保存する義務を新設しました。また、この帳簿は定期的に届出なければいけないものになります。

これにより、死亡数があまりに多い業者の場合は不適切な飼養がされているのではといった監視が容易になりました。

特定動物の飼養の禁止

改正前までは許可を受けることで飼養することができた特定動物を、改正後は飼養できなくなりました。この変更により個人が特定動物を愛玩目的で所有することは不可能となります。

所有者不明の犬猫の引取を拒否できる理由を追加

改正前は所有者不明の犬猫の引取を都道府県等が求められた場合は拒否できませんでしたが、周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがないと認められる場合等で拒否できるようになりました。

適正飼養が困難な場合の繁殖防止義務化

改正前は適正飼養が困難になる恐れのある場合はみだりに繁殖させないように、それを防止する措置を取るよう努めなければならない、と努力義務でした。これが義務化され不妊手術等の措置を講じなければならないとされました。

罰則の厳罰化

動物をみだりに殺したり、傷つけた者は2年以下の懲役又は200万円以下の罰金だった罰則が、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金と大幅に厳罰化されました。

また、虐待や遺棄に関しては100万円以下の罰金だけだった規定が、懲役1年以下又は100万円以下の罰金と厳罰化されています。

マイクロチップ装着の義務化

犬猫等販売業者には犬や猫を取得した際にマイクロチップを装着することを義務付けました。それ以外の所有者には努力義務が付されています。

これに付随して、マイクロチップ装着証明書や登録の義務も新設されています。同時に狂犬病予防法の特例として、特定の市町村等であればマイクロチップを装着し登録を行うことで、従前の鑑札の代わりとすることができるようになりました。

幼齢の犬猫の販売制限

生後56日を経過していない犬猫は、免疫力等の懸念から一部を除き販売が禁止されます。この期間は親と過ごすことが将来的に問題行動を起こしやすくなるかどうかにつながることや、まだ体が弱いことなどから規定されました。

対面説明・現物確認の義務化

動物を販売する際にはその事業所において説明し、動物の現在の状況を確認させるよう変更されました。これにより、購入に際しより慎重になることが期待され、また、インターネットのみで購入できてしまうといったことを防ぐことができます。

おわりに

本コラムでは動物愛護法の改正に関して、その一部を解説いたしました。

動物を不適切に飼養する業者を規制することが主とした改正内容に感じられます。動物との共生のためにもこれらの規定をしっかり遵守し、適切な飼養を行うようにしてください。

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