はじめに
- Q第二種動物取扱業の飼養施設の要件は?
- A
飼養施設の規模や構造、備える設備、管理に関する要件等細かく規定されています。備える設備においても特にケージ等は数値基準が設定されています。
第二種動物取扱業では飼養施設を設置します。その際に飼養施設自体に対する要件や、施設に備える設備に対する要件があります。
本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。
ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。
本コラムでは第二種動物取扱業における飼養施設の法的要件に関して解説いたします。
飼養施設と備える設備の要件
飼養施設と設備に関する要件は主に環境省令によって規定されています。
飼養施設の要件
飼養施設に備える設備
飼養施設に備える設備は次のように規定されています。⑧から⑪まではこれらの施設を設置している場合に限ります。
- ケージ等
- 給水設備
- 消毒設備
- 餌の保管設備
- 清掃設備
- 遮光のため又は風雨を遮るための設備
- 訓練場※1
- 排水設備
- 洗浄設備
- 汚物、残さ等の廃棄物の集積設備
- 空調設備※2
事業の実施に必要な権原の証明
飼養施設の建物並びにこれらに係る土地について、事業の実施に必要な権原を有していることが必要です。登録の際にはそれを証明する書類の提出が求められます。
土地や不動産を自ら所有している場合は、不動産の登記事項証明書、借りている場合は動物取扱業の営業を認める旨の記載のある賃貸借契約書などが書類の例になります。
飼養施設の構造・規模等
飼養施設の構造、規模等に関しては次のように規定されています。
- 飼養施設は、本コラム「飼養施設に備える設備」の①から⑦に掲げる設備を備えること
- 飼養施設は、必要に応じて、排水設備、洗浄設備、廃棄物の集積設備及び空調設備を備えるよう努めること
- 臭気の拡散又は動物の毛等の飛散により、飼養施設の環境又はその周辺の生活環境を著しく損なう事態が発生するおそれがある場合にあっては、空気清浄機、脱臭装置、汚物用の密閉容器等を備えること
- ねずみ、はえ、蚊、のみその他の衛生動物が侵入するおそれがある場合にあっては、その侵入の防止又は駆除を行うための設備を備えること
- 飼養施設及びこれに備える設備等は、事業の内容及び実施の方法に鑑み、事業に供する動物の適正な取扱いのために必要な構造及び規模とすること
- 飼養施設の床、内壁、天井及び附属設備は、清掃が容易である等衛生状態の維持及び管理がしやすい構造とするよう努めること
- 飼養施設は、飼養又は保管をする動物の種類、習性、運動能力、数等に応じて、その逸走を防止することができる構造及び強度とすること
- 飼養施設は、動物の飼養又は保管に係る作業の実施に必要な空間を確保していること
- 飼養施設の構造及び規模が取り扱う動物の種類及び数に鑑み著しく不適切なものでないこと
- ケージ等及び訓練場は、突起物、穴、くぼみ、斜面等によって、動物が傷害等を受けるおそれがないような安全な構造及び材質とすること。また、犬又は猫の飼養施設にあっては、ケージ等及び訓練場は、床材として金網が使用されていないものとする※とともに、錆、割れ、破れ等の破損がないものとすること
- ケージ等及び訓練場の床、内壁、天井及び附属設備は、清掃が容易である等衛生状態の維持及び管理がしやすい構造及び材質とするよう努めること
- ケージ等及び訓練場は、動物の種類、習性、運動能力、数等に応じて、動物の逸走を防止できる構造及び強度とすること
飼養施設の管理
飼養施設の管理に関しては次の事項を遵守する必要があります。
- 飼養施設の建物及びこれらに係る土地について、事業の実施に必要な権原を有すること
- 定期的に清掃及び消毒を行うとともに、汚物、残さ等を適切に処理し、衛生管理及び周辺の生活環境の保全に支障が生じないように清潔を保つこと
- 一日一回以上巡回を行い、保守点検を行うこと
- 清掃、消毒及び保守点検の実施状況について記録するよう努めること
- 動物の鳴き声、臭気、動物の毛等により周辺の生活環境を著しく損なわないよう、飼養施設の開口部を適切に管理すること
- 動物の鳴き声により周辺の生活環境を著しく損なう事態が発生するおそれがある場合にあっては、鳴き声が外部に伝播しにくくするための措置を講じること
- 動物の逸走を防止するため、飼養施設の管理に必要な措置を講じ、必要に応じて施錠設備を備えること
設備等の要件
設備の構造、規模等
ケージ等の要件
ケージ等に関してはいわゆる数値基準というものが設けられております。旧来より厳格になり、不適切な飼養があった場合に是正を勧告しやすくなっています。
次の規定を守らなければいけません (傷病動物の飼養若しくは保管をし、又は動物を一時的に保管する等特別な事情がある場合はこの限りでない)。
犬又は猫のケージ等の要件
- 犬にあっては、一頭当たりのケージ等の規模は、縦の長さが体長の二倍以上、横の長さが体長の一・五倍以上及び高さが体高の二倍以上※1とすること
- 猫にあっては、一頭当たりのケージ等の規模は、縦の長さが体長の二倍以上、横の長さが体長の一・五倍以上及び高さが体高の三倍以上※2とするとともに、ケージ等内に一以上の棚を設けることにより、当該ケージ等を二段以上の構造とすること
- 運動スペース一体型飼養等を行う場合にあっては、ケージ等は、それぞれ次のとおりとすること
要件はこちら
- 犬にあっては、一頭当たり※3のケージ等の規模は、床面積が運動スペース分離型飼養等を行う場合のケージ等の一頭当たりの床面積の六倍以上※4※5及び高さが体高の二倍以上※6とすること
- 猫にあっては、一頭当たり※7のケージ等の規模は、床面積が運動スペース分離型飼養等を行う場合のケージ等の一頭当たりの床面積の二倍以上※4※8及び高さが体高の四倍以上※9とするとともに、ケージ等内に二以上の棚を設けることにより、当該ケージ等を三段以上の構造とすること
- 運動スペース分離型飼養等を行う場合にあっては、運動スペース一体型飼養等を行う場合におけるケージ等以上の規模を有する分離型運動スペースを備えること
犬及び猫以外の動物のケージ等の要件
- 犬及び猫以外の動物のケージ等は、個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、羽ばたく等の日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有するものとすること。また、飼養期間が長期間にわたる場合にあっては、必要に応じて、走る、登る、泳ぐ、飛ぶ等の運動ができるように、より一層の広さ及び空間を有するものとすること
設備の管理
設備の管理に関しては次のように規定されています。
- ケージ等に、給餌及び給水のための器具を備えること※1
- ケージ等に、動物の生態及び習性並びに飼養期間に応じて、遊具、止まり木、砂場及び水浴び、休息等ができる設備を備えるよう努めること
- ケージ等の清掃を一日一回以上行い、残さ、汚物等を適切に処理すること※2
- ふん尿に係る動物の衛生管理のため、ケージ等には、ふん尿の受け皿を備え、又は床敷きを敷く等の措置を講じること
- 届出をして保管業を行う者及び届出をして訓練業を行う者にあっては、④に掲げるもののほか、飼養又は保管をする動物を搬出するたびにケージ等の清掃及び消毒を行うこと
- 動物の逸走を防止するため、ケージ等及び訓練場に、必要に応じて施錠設備を備えること
- 運動スペース分離型飼養等を行う場合にあっては、分離型運動スペースは、常時、犬又は猫の運動の用に供することができる状態で維持管理を行うこと
おわりに
本コラムでは第二種動物取扱業における飼養施設の要件に関して解説いたしました。
第一種とともに第二種でも飼養施設に関しては数値基準が設けられています。動物ができるだけストレスなく過ごせるように規定を遵守するようにしてください。