はじめに
- Qペットの送迎サービスを行いたいけど、必要な資格とかはある?
- A
ペットの送迎を有償で行う場合は貨物自動車運送事業の許可か届出が必要です。その中でも貨物軽自動車運送事業の届出がおすすめです。
ペットタクシーを始めたい方や、ペットホテルで送迎サービスも行いたい方は、有償で行うためには貨物自動車運送事業の許可や届出が必要になります。正しい手続きを経ずに事業を行うと罰金となる可能性もあります。
本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。
ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。
本コラムではペット送迎に必要な要件として、貨物自動車運送事業のうち、貨物軽自動車運送事業の届出に関して解説いたします。ペット送迎を始めたい方は是非御覧ください。
ペット送迎の要件
概要
まず、なぜペットの送迎に貨物自動車運送事業の許可・届出が必要なのでしょうか。
残念ながらペットは法律上「物」として扱われます。そして、物を運ぶことで対価を受ける行為は貨物自動車運送事業の許可か届出を済ませていないとしてはいけません。よって、ペットの送迎であっても法律上は物を輸送して対価を得ている行為なのでこういった許可や届出が必要になります。
貨物自動車運送事業の種類
一般貨物自動車運送事業
一般貨物自動車運送事業とは運送会社をイメージしていただければわかりやすいです。トラックを何台も持っていて、大量の物を長距離運んでいるような事業形態です。これを取得するにはトラックと運転手を5名以上用意しないといけない等非常に難易度の高い許可になります。
貨物軽自動車運送事業
一般貨物自動車運送事業はトラックや運転手を何人も用意しないといけない等要件が非常に厳しいものです。しかし、それではペットの送迎等ができません。そこで本コラムでおすすめするのが貨物軽自動車運送事業です。
貨物軽自動車運送事業では車は1台あればよいですし、運転手も1人いればOKです。必要なのは普通自動車免許と車だけなので個人でペットタクシーなどを始めたい方にも参入障壁が低く初期コストも抑えられます。
4 この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。貨物自動車運送事業法 | e-Gov法令検索
貨物軽自動車運送事業の要件
車両の要件
使用できる車両としては、軽トラック、軽バン、軽自動車、バイク (排気量が125cc以上) 等です。
以前は車検証の用途欄が「貨物」でないと事業を行えなかったため、軽乗用車では不可でした。しかし現在は変更があり、「乗用」であっても事業に使用することができます。
なお、貨物車であれば最大積載量が記載されているため、上限がわかりますが、乗用車であれば人が乗る想定なため最大積載量の記載がありません。そこで、現状は積載量として乗車定員数から乗車人数を差し引いた値に55を乗じた数値 (単位はキログラム) を最大積載量として考えることに注意してください。
事務所・営業所・休憩所の要件
使用する権原があれば特段問題ありません。ご自宅や、何か別の事業で事務所を持っていればそこに設定することができます。
車庫の要件
営業所に併設されているか、されていなければ2km以内にあれば大丈夫です。車が全て入ること、使用権限を有していること等が要件になります。ご自宅に駐車場として使用できるスペースがあればそこでも大丈夫です。
運送約款の要件
責任や運送料金等に関して定めた運送約款が必要になります。
おわりに
本コラムではペット送迎に必要な貨物軽自動車運送事業の届出に関して解説いたしました。
ペットホテルなどのサービスの一貫で送迎を有償で行っているところは意外とあり、なんらかのトラブルからバレてしまうと罰金を受ける可能性があります。必ず必要な許可や届出は済ませた上で営業を行って下さい。