はじめに
- Qトリミングサロンを経営しているが、お客さんからのクレーム対応はどうすればいい?
- A
事業者側に非がない場合は、利用規約をしっかり作成しておくことでリスクヘッジをすることができます。
トリミングサロンを経営しているとクレームは少なからずあります。もちろん、事業者側に非があるのであれば謝罪や賠償が必要です。しかし、非もないのに不当な要求をしてきて業務が妨害されてしまっては良くありません。
何も対策せず放置しているとクレームが増え、従業員に辞められてしまったり、不当に賠償金を請求される可能性もあります。
本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。
ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。
本コラムではクレームを対処するために、利用規約を上手くつくることの効果を解説いたします。読んでいただくことで、利用規約の作り方によっては不当な要求を呑まずに済むことができます。
利用規約は抽象的過ぎず、かつ具体的過ぎずにある程度の保証範囲を明確にすることでクレームに対処することができます。
クレームかどうかの判断と事前対応
全てをクレームとするのは良くない
いくらクレームと言えど、お客さんの言い分に理があればそれは不当な要求ではない場合があります。事業者側の過失であれば真摯に対応してください。利用規約は事業者を庇護するものではなく、事業者とお客さんとの責任範囲を明確にするものと捉えて下さい。
場合によっては施術のお断りを
元々体調が悪そうな犬や猫であったり、何らかの手術を受けて日が経ってない子の場合等、後々トラブルになりそうな時は施術をお断りすることも視野に入れて下さい。「元気な時にまたご来店下さい」や「術後◯日以上経過した際におこし下さい」と礼節を持ってお断りする方が、「大丈夫だろう」と思って施術するよりもリスクは低いです。
利用規約による対応
補償の上限を明確に
施術前には利用規約を読んでいただいたり、同意書にサインをいただくこともあるかと思います。その際にどこまでならどれだけの責任を持つといった条文を入れておくと安心です。
例えば、「施術中に怪我をさせてしまった場合は◯万円まで補償します」等補償の際の上限額を入れておくと予想もしないようなお金を要求されるのを防ぐことができ、一種のリスクコントロールができます。
施術後の確認
施術後しばらくしてから「怪我をしていた」とクレームを入れられるのを避ける為には、施術後すぐにお客さんに犬や猫を確認していただいて、問題ないことを確認した旨のサインをもらっておくと良いです。
ただ、こういった利用規約の作成は法律に精通した専門家でなければ難しい場合があります。ご希望の方は当事務所までご依頼ください。誠実に対応いたします。
作成時の注意点
責任範囲を決めるとは言えど、あまりに抽象的なものは当然駄目です。例えば、「施術中に生じたいかなる怪我や体調不良等は当店では一切責任を負いません」等は無効になる可能性が非常に高いです。
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。 一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項消費者契約法 | e-Gov法令検索
とはいえ、あまりにも具体的にズラーっと条文を並べてもお客さんは読む気がなくなりますし、「なんかたくさん規定を作ってお店側に有利にしてるんじゃないの?」と不信感すら与えかねません。抽象的過ぎる規定は避け、お客さんに読んでもらえる程度には具体的に記載するようにしましょう。
おわりに
本コラムではトリミングサロンの利用規約でクレーマー問題を未然に防ぐ方法を解説いたしました。
あくまでお客さんが「不当な」要求をしてきたときに対応するための方法を紹介しましたが、事業者側に非がある場合は誠実な対応が求められます。
法的に必要十分な利用規約の作成は専門家へのご依頼も検討してみてください。