はじめに
- Q犬に子供が生まれたから譲渡したいけど契約書は必要なの?
- A
必須ではありませんが、契約書を交わすことを強くおすすめします。譲渡したあとで希望通りの飼育をされなかったり、ネグレクトをされてしまったときなどに契約書があると助け出すことができます。
終生飼養が原則ですが、様々な理由で飼っているペットを譲渡することになる方もいらっしゃいます。譲渡自体に契約書は必須ではありませんが、譲渡におけるトラブルは非常に多いです。
本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。
ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。
本コラムではペットの譲渡における契約書の必要性を解説いたします。読んでいただくことで譲渡におけるトラブル回避に契約書がとても役立つことをご理解いただけるかと思います。
結論から言うと、譲渡契約書を交わすことは、大切なペットのその後の安全を確保するために非常に重要です。
譲渡後トラブルを防止するための契約書
起こり得るトラブル
室内飼いが条件だったのに、外に出して飼われてしまった。
勝手に別の人に譲渡されてしまった
契約書を交わさず、口頭でのやり取りだけで終わらせてしまうと、上記のようなトラブルも考えられます。しかも「聞いてた話と違うから返して」と言ってもすでに新しい飼い主さんの家族となってしまっているので返してもらえるかどうかは期待できません。
譲渡後のペットの安全を守るのが目的
そこで、大切なペットの今後の安全を守るために必要なのが契約書です。契約書には大切なペットが今後ひどい環境に置かれないことを約束させる文言や、特定の行為 (例えば勝手に別の人に譲渡するなど) の禁止、飼育方法の指定、何かあったときの返還条件などを盛り込みます。
譲渡契約書の一般的な記載事項
具体的にはどういったことを記載するのでしょうか。よくある一般的な事項を挙げていきます。
- 譲渡人、譲受人の氏名や住所等の情報
- ペットの所有権に関する記載
- 契約日
- 譲渡対象のペットを特定する情報
- 譲渡日
- 譲渡方法
- 飼養に関する条件や返還条件等個々による事項
基本情報
譲渡人、譲受人の情報は当たり前ですね、ペットを特定する情報とは性別や年齢、種類、毛色などです。契約日や譲渡日、所有権に関する事項も記載します。
返還条件や個別の条件
メインになるのは個々の条件です。例えば室内飼育にしてほしいといったこと、飲水を取り替える頻度、しつけの仕方などです。定期的な健康診断の受診や、ワクチンの定期接種なども記載できます。
返還条件なども記載します。契約書の内容に違反した場合は返還することや、虐待があった場合、飼養が困難になった場合に返還することなどです。記載しておくことで譲渡前に話していたことと違うことをされたときに大切なペットを助け出すことができます。
その他
あとは費用負担などを記載することが多いです。基本的には譲渡後のペットの飼養に係るお金は譲受人の負担です。場合によっては譲渡人と譲受人で按分した額を支出するということがあれば、それも記載しておきます。
このようにして契約書を交わすことでペットを譲渡したあとであっても、譲渡前と話が違うということは減らすことができますし、何よりなにかあった時は返還させることができますので安心です。
おわりに
今回はペットの譲渡における契約書の必要性を解説しました。
契約書自体はご自身でも書けますし、ネット上にテンプレートもあります。しかし、個別具体的な事情に合わせて法律に則った契約書を求める場合は専門家に依頼するのが一番安全でしょう。
殺処分ゼロを実現するためにも譲渡は一つの手段ですが、個人間だとトラブルが起きやすいのでお気をつけください。環境省も譲渡を推しているようです。
ご不明点、ご相談等は是非当事務所までお問い合わせ下さい。