はじめに
- Qペットと海外旅行に行くときに必要な手続きは?
- A
日本から出国する時と、日本に再度入国するときに手続きが必要になります。輸出検疫などを行う必要があり、前もって準備をしないといけないことが多いです。
ペットと一緒に暮らしているとお散歩はもちろん、電車に乗って少し遠いところに遊びに行ったり、海の近くまで行ってみたりする中で、海外旅行にも連れて行きたくなるかもしれません。
海外旅行の場合は飛行機で行くことになると思いますが、長時間の旅になる上でペットの体調管理や海外でのペットの扱いなど様々な不安があるかと思います。
それに加えて海外にペットと行く場合は、日本にいる間に済ませておくべき手続きがありますので解説いたします。
本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。
ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。
本コラムではペットと海外旅行に行く時に必要な手続きを解説いたします。
ペットと海外旅行をする場合に注意することは以下の2点です。
- 日本からの出国時の手続き
- 日本への入国時の手続き
出国の際の手続き
マイクロチップの装着
国際標準化機構 (ISO) 11784及び11785規格のマイクロチップを装着します。マイクロチップの装着がない場合は日本へ再度入国する際に180日の係留期間を要することになります。
狂犬病予防注射
マイクロチップ装着後、生後91日目以降に狂犬病ワクチン※を接種します。その後、31日以上1年以内に再度狂犬病ワクチン※を接種してください。このときのワクチン接種証明書は後々使用しますので大切に保管してください。
狂犬病抗体値測定
上記ワクチン接種後、動物病院で採血し、指定検査施設※で狂犬病抗体値検査を受けてください。その後、検査結果通知書が届きます (血清1mlあたり0.5IU以上であることが必要)。検査結果は採血日から2年間有効です。
輸出検査の事前連絡
出国前に狂犬病 (犬の場合は加えてレプトスピラ症) の検査と輸出検疫証明書の交付を受ける必要があります。検査希望日の10日前までにNACCS※を用いて連絡します。NACCSの使用が難しい場合は電子メールを用いて連絡してください。
相手国の条件等によっては準備に数ヶ月を要する場合がありますので早めに連絡しましょう。
輸出検査
事前に申請・予約した動物検疫所に犬を連れ、検査を受けてください。輸出検査に必要な書類は次のようになります。
- 輸出検査申請書 (NACCSで申請した場合は不要。申請番号のみ伝える)
- 相手国の入国条件で必要となる書類
- 獣医師発行のマイクロチップ装着証明書 (規格、番号、装着年月日、装着部位が記載されているもの)
- 獣医師発行の2回分の不活化又は遺伝子組み換えワクチンによる狂犬病予防注射済証 (マイクロチップ番号の記載要)
- 指定検査施設発行の狂犬病の抗体価検査の検査結果通知書
- 獣医師発行の健康診断書 (必要な場合)
- その他、動物検疫所から案内された書類
輸出検査完了後、英文の輸出検疫証明書が発行されます。輸出検疫証明書のコピーも発行されますので大切に保管してください。日本に再度入国する際にこのコピーを電子メール等で送付することで手続きが円滑になります。
書類の事前確認
書類の不備がないかを出発空港の動物検疫所に事前に確認してもらうこともできます。不備があると輸出検疫証明書が発行されませんので、事前に確認してもらうようにしましょう。検査希望日の10日前まで提出することが可能です。
再入国の際の手続き
輸入の届出
日本に到着する40日前までに、到着予定の空港を管轄する動物検疫所に届出をする必要があります。問題なければ届出受理書が交付されます。これは輸出国での手続き等で必要となる可能性がある他、日本での輸入検査で届出受理書に付された番号が必要となりますので大切に保管してください。
相手国での出発前検査
狂犬病予防注射の有効免疫期間が途中で切れてしまうと、2回の接種や抗体値検査をやり直すことになりますので注意してください。また、やり直した場合は係留期間が180日以上となります。抗体値検査の有効期間が途中で切れてしまった場合も抗体値検査のやり直しがあります。注意しましょう。
相手国出国の10日以内に狂犬病 (犬の場合は加えてレプトスピラ症) にかかっていない又はかかっている疑いがないことの検査を受け、輸出国政府機関発行の証明書を受ける必要があります。なお、滞在期間中に必要な処置を受けた場合は、これに関しての同様の証明書も必要になります。
輸入検査
日本到着後、輸入検査申請書を動物検疫所に提出します。輸出国政府機関発行の証明書と動物検疫所発行の輸出検疫証明書に記載されている情報が適合していると確認された場合、係留期間が12時間以内となります。
輸入検査が終了すると輸入検疫証明書が発行されます。
書類の事前確認
輸出検査の時と同様に、輸入検査に先立って必要書類に不備がないかをチェックしてくれます。不備があった場合は係留期間が180日となる可能性があるので事前に確認を取ってもらうようにしましょう。
相手国の入国条件
相手国の入国条件については駐日外国公館リストか、相手国の動物検疫機関にご確認ください。
おわりに
本コラムではペットと一緒に海外旅行に行く時に必要な手続きを解説いたしました。
輸出入国手続きは前もって準備しておくことが多いのが特徴です。旅行することが決まったらできるだけ早く動くことをおすすめいたします。