飼い主の死亡後に残されたペットへできること

飼い主さん向け
東京都江東区のペット法務専門行政書士事務所です。
お気軽にお問い合わせ下さい。

飼い主の死亡・長期入院時に何ができるか

Q
自分が死んだ後のペットが心配。何かできることはある?
A

飼い主さん死亡後のペットのお世話については、新しい飼い主さんを確保しておくこと、飼養費用を残すこと、飼い主さんにもしものことがあったことを素早く検知する仕組みが必要です。

飼い主さんの死亡後、残されたペットはどうなるでしょうか。家族が世話をしてくれるかもしれませんが、お一人の方は別の方法を探さないといけませんし、ご高齢の夫婦で子供がいない場合や、家族があまり動物を好きではない場合も大変です。

また、ペットを飼育していく上で費用は必ずかかります。お世話を残された方にお願いするのですから、ある程度の財産も残したいものです。

本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。

ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。

本コラムでは飼い主の死亡後に残されたペットへできることを解説いたします。残念なことですが動物は法律上では「物」として扱われてしまい、相続などの主体になることができません

また、飼い主さん死亡後のペットのお世話に関しては次の3つの要素を考えなければいけません。

  1. 人の要素: 新しく飼い主さんになる人・団体を見つける
  2. お金の要素: お世話をしてくれる人に飼養費用を残す
  3. 検知の要素: 飼い主さんの死亡・入院・判断能力低下を検知し素早くペットを保護する

人の要素は飼い主さんが探すことになります。しかし、お金と検知の要素は行政書士がご協力することが可能です。まず最初にいくつか大切なペットの為に財産を残す方法がありますので解説いたします。

大切なペットに財産を残す方法

大切なペットの世話を法的にお願いする方法や、財産を残す方法は次のようになります。

  1. 負担付遺贈
  2. 負担付死因贈与契約
  3. 死後事務委任契約
  4. ペットのための信託

それぞれメリットとデメリットがありますので一つずつ解説していきます。

負担付遺贈

遺贈とは遺言で贈与することを言います。つまり遺言で「残されたペットの世話をしてくれる人には財産をいくら渡す」と書くことができます。

しかし、これだと本当にお世話をしてくれるのかが心配です。そこで「負担付」となっています。ここで言う負担付とは条件付きという意味だとご理解ください。

すなわち「ペットのお世話をしてくれるのであれば(条件)、財産をいくら渡す(贈与)」という意味になります。

負担付遺贈は遺贈者の一方的な遺言で成立するものですが、受遺者が拒否することもできるというのがデメリットになります。詳細は以下のコラムで解説しております。

負担付死因贈与契約

負担付死因贈与契約は負担付遺贈とほとんど同じです。

新しい飼い主さんになる人を見つけ、その人とペットのお世話をしてくれる代わりに財産の一部を渡す契約を結びます。現在の飼い主さんが亡くなった際に契約内容の履行が開始されます。

こちらは双方合意による契約であるため、負担付遺贈とは違い相手の意思を事前に知ることができるため、履行確実性は高いです。

詳細は以下のコラムで解説しております。

死後事務委任契約

遺言書では法的に意味のある部分、往々にして財産をどう分けるのかや、子供の認知など決まったことしか有効になりません。死後自分の部屋をきれいにしてほしいことや、大事にしていた絵画を定期的にお手入れしてほしい等は遺言書では法的に意味をもちません。こういったことをお願いする場合は死後事務委任契約を結びます。

この契約内容は反社会的なものでない限り自由ですので、残されたペットのお世話をお願いすることができます。また、双方合意の契約ですので履行確実性は高いと言えます。

負担付遺贈も負担付死因贈与契約も死後事務委任契約も飼い主さんが死亡することで効力が発生します。

つまり、飼い主さんが生前、認知症になってしまった場合や病気などで入院してしまった場合はこの3つでは対応できません。飼い主さんがご存命の場合であっても、ペットのお世話が困難になったときに対応できるのがペットのための信託です。

ペットのための信託

ペットのための信託とは財産を信頼できる人や団体に託し、ペットの為に管理や運用してもらうことを言います。

ペットのための信託の契約を事前に行うことで、飼い主さんが存命中であっても長期入院などの際に大切なペットのお世話をお願いすることができます。

例えば受託者に財産の一部をペットの為にと託しておき、もしものときの新しい飼育者を指定しておきます。万一の事態になったときは新しい飼育者が大切なペットのお世話をし、その際に必要な費用は受託者が給付を行うという流れになります。

また、受託者がちゃんと事前の約束通りに財産を使用しているかや、新しい飼い主さんが約束通りお世話をしているかを見張る者として、信託監督人という人を設定することができます。信託監督人はご自身の信頼できる方や行政書士などに依頼することになると思いますが、報酬が発生することには注意ください。

ペットがお空に旅立った時点で信託契約が終了します。詳細は以下のコラムで解説しております。

飼い主さんの緊急事態を検知する

契約は判断能力が低下した後ではできません。飼い主さんの死亡後に財産を残すためには先に解説した方法があります。また、ペットのための信託によって長期入院などにも対応することができます。

飼い主さんがご高齢で、認知症になった場合他にペットの世話をすることができない場合、これに備えた対策を取る必要があります。ペットのための後見では、飼い主さんと事前にペットのその後について決めておき、見守り契約により飼い主さんの状況を把握します。判断能力が低下したと判断したときは事前に決定していた方法でスムーズにペットのお世話を引き継ぐことができます。

詳しくは以下のコラムで解説しております。

おわりに

本コラムでは飼い主の死亡後に残されたペットへできることについて解説いたしました。

ご自身の身にもしもがあったときに、残される大切な家族であるペットのことを事前に対応しておくというのは終生飼養という意味でも非常に大事なことです。ご自身の状況等を鑑み、より適切な対応を選択いただけると大切なペットのためにもなります。

ご不明点ありましたらご遠慮なくお問い合わせください。

タイトルとURLをコピーしました