希少動物の保護と法律:捕獲等の禁止・許可・罰則

日常
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はじめに

Q
希少動物って聞くけど、具体的にどんな動物のこと?
A

正式には希少野生動植物種と言い、絶滅のおそれがある動植物種です。国内の動植物、国外の動植物、環境大臣が指定を行う動植物の三種類があり、具体的にはトキやカリフォルニアコンドル等がいます。

希少野生動植物種とは絶滅のおそれのある動植物種のことです。「絶滅のおそれ」とは種の保存法で次のいずれかである場合と規程されています。

  1. その種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ないこと
  2. その種の個体の数が著しく減少しつつあること
  3. その種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつあること
  4. その種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつあること
  5. その他のその種の存続に支障を来す事情があること

本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。

ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。

本コラムでは希少野生動植物種に関して、どんな分類があり、具体的にはどんな動物が指定されているのかや、種の保存法に規程されている罰則の一部を解説いたします。

希少野生動植物種

種の保存法では希少野生動植物種を3つの種類に分類しています。

 この法律において「希少野生動植物種」とは、次項の国内希少野生動植物種、第四項の国際希少野生動植物種及び次条第一項の緊急指定種をいう。
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 | e-Gov法令検索

国内希少野生動植物種

国内に生息、生育する絶滅のおそれのある動植物種であり、具体的には政令で定められています。

一部を挙げると次のような動植物種です。

  1. トキ (Nipponia nippon)
  2. イリオモテヤマネコ (Prionailurus bengalensis iriomotensis)
  3. オビトカゲモドキ (Goniurosaurus splendens)
  4. アカハネバッタ (Celes akitanus)
  5. ムラサキカラマツ (Thalictrum uchiyamae)

特定第一種国内希少野生動植物種

特定第一種国内希少野生動植物種とは国内希少野生動植物種のうち次のいずれも満たす種のことを言います。国際的な対象とされていないことかつ、個体の繁殖が可能という点で国内希少野生動植物種の中でも規制が一部異なっています。

  1. 商業的に個体の繁殖をさせることができるものであること
  2. 国際的に協力して種の保存を図ることとされているものでないこと

特定第二種国内希少野生動植物種

特定第二種国内希少野生動植物種とは国内希少野生動植物種のうち次のいずれも満たす種のことを言います。こちらも一部規制が異なっています。

  1. 種の個体の主要な生息地若しくは生育地が消滅しつつあるものであること又はその種の個体の生息若しくは生育の環境が著しく悪化しつつあるものであること
  2. 種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ないものでないこと
  3. 繁殖による個体の数の増加の割合が低いものでないこと
  4. 国際的に協力して種の保存を図ることとされているものでないこと

国際希少野生動植物種

国際希少野生動植物種とは国際的に協力して種の保存を図ることとされている絶滅のおそれのある野生動植物種のことであり、具体的には政令で定められています。

一部を挙げると次のような動植物種です。

  1. カリフォルニアコンドル (Gymnogyps californianus)
  2. レッサーパンダ (Ailurus fulgens)
  3. ナイルワニ (Crocodylus niloticus)
  4. アレクサンドラトリバネアゲハ (Ornithoptera alexandrae)
  5. ブラジリアンローズウッド (Dalbergia nigra)

緊急指定種

緊急指定種とは国内希少野生動植物種及び国際希少野生動植物種以外の種であり、緊急で種の保存を行う必要がある際に指定される種になります。

禁止行為と許可及び罰則

捕獲等の禁止

国内希少野生動植物種と緊急指定種において、次のように捕獲等が禁止されています。

第九条 国内希少野生動植物種及び緊急指定種(以下この節及び第五十四条第二項において「国内希少野生動植物種等」という。)の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
  次条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合
  販売又は頒布をする目的以外の目的で特定第二種国内希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をする場合
  生計の維持のため特に必要があり、かつ、種の保存に支障を及ぼすおそれのない場合として環境省令で定める場合
  人の生命又は身体の保護その他の環境省令で定めるやむを得ない事由がある場合
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 | e-Gov法令検索

原則として捕獲等は禁止です。ただし、許可を取得している場合や、販売・頒布以外の目的で特定第二種国内希少野生動植物種の生きている個体を捕獲等する場合等は除かれています。

捕獲等の許可

国内希少野生動植物種等の捕獲等は原則禁止です。しかし、一定の目的のためであれば許可を得ることで実施することができます。一定の目的とは、種の保存法及び種の保存法施行規則より次のようになります。

  1. 学術研究
  2. 繁殖
  3. 教育
  4. 個体の生息状況又は生育状況の調査
  5. その他個体の保存に資すると認められる目的

目的が合致すると思われる方は環境大臣に許可の申請を行うことで許可を得られる可能性があります。

罰則

種の保存法にはいくつか罰則規程がありますが、捕獲等の禁止や、捕獲等の許可に関しては厳しい罰則があります。

第五十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
  第九条、第十二条第一項又は第十五条第一項の規定に違反した者
  偽りその他不正の手段により第十条第一項の許可、第十三条第一項の許可、第二十条第一項の登録、第二十条の二第一項の登録の更新、第二十条の三第一項の登録、第三十三条の六第一項の登録又は第三十三条の十第一項の登録の更新を受けた者
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 | e-Gov法令検索

第九条とは捕獲等の禁止のことであり、第十条第一項の許可とは捕獲等の許可のことです。これらに違反したり、不正な手段により許可を得ると5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金です。この罰則は動物愛護法における愛護動物に対するみだりな殺傷の際の罰則と同じです (併科はありません)。

おわりに

本コラムでは希少野生動植物種とは何かといったことから、捕獲に関する規制、許可の規程、罰則等に関して解説いたしました。

絶滅のおそれのある動物の中には、人間による乱獲等によって個体数を減らした個体も少なくありません。希少野生動植物種を知っていただき、同じことが繰り返されないようにしたいところです。

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