繋ぎ待たせの是非
- Q散歩ついでに買い物したいからスーパーの前で犬を繋いでるけど問題ないよね?
- A
法律上直ちに問題があるわけではありません。しかし、ペットの立場、ペットの近くを通る人の立場、飼い主さんの立場すべての場合においてメリットよりリスクのほうがはるかに高いです。
コンビニやスーパーの前を通ると、たまにペットをお店の前に繋ぎ止めている人がいます。短い間ならまだしも、何十分も買い物をしている人すらいます。これは違法なのでしょうか、あるいはマナー的にどうなのでしょうか。
本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。
ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。
本コラムではペットの繋ぎ止めに関して法的な観点と、マナー的な観点、及びリスクの観点から解説いたします。
繋ぎ止め自体には違法性はないが…
繋ぎ止め自体は直接違法とはなりません。それを禁止する法律がないからです。
ただし、例えば犬をコンビニの前に繋ぎ待たせている間に、近づいてきた子供を噛んでしまった場合は飼い主さんが治療費を支払わなければいけない可能性が高いです。
動物占有者等の責任
第七百十八条 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
民法 | e-Gov法令検索
民法第七百十八条第一項動物占有者等の責任です。動物が加えた損害の責任は基本的にはその飼い主さんが負います (別の人が占有していたときは除く)。相当の注意をもって管理をした場合は除かれますが、「繋ぎ止めて待たせていた」ことが「相当の注意をもって管理をした」とは到底考えられません。
マナー的にはどう?
次にマナーとしてはどうでしょうか。正直マナーというのは個々人の主観に依存する要素が多くなんとも回答が難しいものがあります。
例えば、一部の店舗ではペットのリードを繋ぎ止めておく為のポール (リードフック) を置いています。このポールは繋ぎ止めておく用なので、ここで繋ぎ待たせをさせても使用目的通りの使い方をしているわけですからマナーとしては問題ないでしょう。ただし、勿論ペットが他者を傷つけた時の責任は飼い主さんにあります。
それ以外の場合はどうでしょうか。大体が車の侵入を防ぐ障害物やリードフックではないポール等に繋ぎ止めてあります。そもそもの使用目的でない方法で使用しているわけですのでマナーが良いとは言えないでしょう。
リスクの観点では…しない方が賢明
繋ぎ待たせをすることによるリスクやデメリットを挙げていきます。
パッと思いつくだけでもこれだけのリスクがあります。人を傷つけた場合は飼い主さんにも治療費の支払い義務が生じる可能性すらあります。
では、そこまでのリスクを負ってでも繋ぎ待たせることに飼い主さんとしてはどんなメリットがあるのでしょうか。よく考えましたが次の1つしか思い浮かびませんでした。
結論、飼い主さんのエゴです
繋ぎ待たせることのメリットに対してリスクが圧倒的に見合っていません。考えられるメリットも飼い主さん側のメリットであって、ペットのことや周りの人のことを考えられていないのではないでしょうか。
もちろん、急に催してしまったから急遽コンビニでお手洗いを借りるといった想定外の場合は仕方ないかもしれませんが、買い物であれば事前にわかるはずです。お散歩とは分けて行くようにしてください。何かあったとき傷つくのはペットか周りの人です。
おわりに
本コラムではペットの繋ぎ待たせに関して法的、マナー的、リスク的観点から解説いたしました。
繋ぎ待たせている間はペットは無防備です。勝手に逃される可能性や、蹴られたり物を投げられたりする可能性すらあります。大事な家族なのであればそのような状態に置かないようにしてください。
お散歩ついでに買い物を済ませられるから時短になる