はじめに
- Q動物の繁殖に関しての決まりは?
- A
第一種動物取扱業者が動物を繁殖させる際には、台帳の保存や、犬においては出産回数の制限などの規制があります。
動物愛護法の第二十一条第一項では、第一種動物取扱業者が遵守しなければいけない基準が規定されています。
また、それを具体化する省令には、より詳細な規定が記されています。
本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。
ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。
本コラムでは第一種動物取扱業の繁殖に関する事項を噛み砕いて解説いたします。
繁殖に関する規定
規定内容
以下のように規定されています。文章は簡潔なものに置換しております。
- 動物を繁殖させる場合※1 には次の要件を満たさなければならない
要件はこちら
- 遺伝性疾患等の問題を起こす可能性のある動物、幼齢の動物、高齢の動物等を繁殖のために用いないこと
- 遺伝性疾患等の問題を起こす可能性のある組み合わせによって繁殖させないこと※2
- みだりに繁殖させ母体に過度な負担がかかることを避け、飼養施設の構造及び規模、職員数等を踏まえて、繁殖の回数を適切なものとし、必要に応じ繁殖を制限するための措置を講ずること
- 動物の繁殖の実施状況について記録した台帳を調整し、5年間保管すること
- 犬を繁殖させる場合※3 には、生涯出産回数を6回までとするとともに、雌の交配時の年齢を6歳以下とすること※4
- 猫を繁殖させる場合※5 には、雌の交配時の年齢を6歳以下とすること※6
- 販売業者、貸出し業者及び展示業者においては、販売、貸出し又は展示のために犬又は猫を繁殖させる場合には次の要件を満たさなければならない
要件はこちら
- 必要に応じて獣医師等による診療を受けさせるか助言を受けること
- 帝王切開を行う場合は、獣医師に行わせること
- 出生証明書と母体の状態及び今後の繁殖の適否に関する診断書の交付を受け、5年間保存すること
- 健康診断書と帝王切開の診断、その他の診断の結果に従い、繁殖に適さない犬又は猫の繁殖をさせないこと
- 犬又は猫を譲り渡す場合※7 は、繁殖の実施状況について記録した台帳の写しと併せて譲り渡すこと
※1 販売業者、貸出し業者及び展示業者において、販売、貸出し又は展示のために動物を繁殖させる場合
※2 希少な動物の保護増殖を行う場合は除く
※3 販売業者、貸出し業者及び展示業者において、販売、貸出し又は展示のために犬を繁殖させる場合
※4 7歳に達した時点で生涯出産回数が6回未満であることを証明できる場合は、当該雌の交配時の年齢は7歳以下とする
※5 販売業者、貸出し業者及び展示業者において、販売、貸出し又は展示のために猫を繁殖させる場合
※6 7歳に達した時点で生涯出産回数が10回未満であることを証明できる場合は、当該雌の交配時の年齢は7歳以下とする
※7 販売業者、貸出し業者及び展示業者において、他の販売業者、貸出し業者又は展示業者に犬又は猫を譲り渡す場合
※2 希少な動物の保護増殖を行う場合は除く
※3 販売業者、貸出し業者及び展示業者において、販売、貸出し又は展示のために犬を繁殖させる場合
※4 7歳に達した時点で生涯出産回数が6回未満であることを証明できる場合は、当該雌の交配時の年齢は7歳以下とする
※5 販売業者、貸出し業者及び展示業者において、販売、貸出し又は展示のために猫を繁殖させる場合
※6 7歳に達した時点で生涯出産回数が10回未満であることを証明できる場合は、当該雌の交配時の年齢は7歳以下とする
※7 販売業者、貸出し業者及び展示業者において、他の販売業者、貸出し業者又は展示業者に犬又は猫を譲り渡す場合
規定を分解してみます。動物全般に対する規定、犬又は猫に対する規定、犬、猫それぞれの規定があります。
動物全般に対する規定の要約
動物全般に対する規定では、基本的には遺伝子疾患のおそれがある際は繁殖禁止。遺伝子疾患を起こす恐れがある組み合わせも禁止。母体の負担や飼養施設、職員数を考慮し繁殖回数を適切とすること。また、繁殖の実施状況についての台帳を用意し、5年間保管すること。とあります。
- 遺伝子疾患を起こす可能性がある場合、幼齢、高齢の場合は繁殖禁止
- 遺伝子疾患を起こす可能性がある組み合わせも禁止
- 繁殖回数は適切に
- 台帳を5年間保存
犬又は猫に対する規定の要約
獣医師と連携し、診療を受けさせたり助言を受けること。帝王切開を行う場合は、獣医師に行わせ、出生証明書、母体の状態、今後の繁殖に関する診断書を受け、5年間保存すること。健康診断や診断書等によって繁殖に適さない犬又は猫は繁殖させないこと。譲り渡す際は台帳の写しと共に譲り渡すこと。とあります。
- 獣医師との連携
- 帝王切開は獣医師に行わせ、診断書を5年間保存
- 健康診断等で繁殖に適さない場合は繁殖させない
- 譲り渡す際は台帳の写しと共に
犬に対する規定の要約
生涯出産の回数制限と雌の交配時の年齢に関する規定になります。
- 生涯出産回数は6回まで
- 雌の交配時の年齢は原則6歳以下
猫に対する規定の要約
こちらは雌の交配時の年齢に関する規定になります。
- 雌の交配時の年齢は原則6歳以下
おわりに
本コラムでは第一種動物取扱業者が遵守しなければいけない繁殖に関する規定を解説いたしました。
繁殖自体が母体にとても負担をかけてしまう行為です。動物の健康を第一に考え、獣医師と連携し、適切に助言を受けるようにしてください。