第一種動物取扱業における動物の展示と輸送に関する法的要件を解説

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はじめに

Q
動物を展示したり輸送する時の決まりは?
A

展示では動物のストレスを考慮して展示可能時間の制限等があり、輸送では輸送設備の決まりや休息を取ること等が定められています。

犬猫の展示や輸送は犬猫へ与えるストレスを鑑み、これを軽減するために展示中の休息や、輸送後のアフターケア等に関して具体的に規定されています。

本コラムはペット法務専門の行政書士が執筆しております。

ペット・動物に関する法手続きの専門家ですのでご安心下さい。

規定の内容によっては特定の第一種動物取扱業の種別に限定したものもありますので、ご自身の種別又はご興味のある種別を考慮してご覧ください。

動物の展示及び輸送の規定

動物の展示

動物の展示は販売業者、貸出し業者、展示業者に対してのものと、販売業者及び展示業者に対してのものが規定されています。次の表では法令の規定を簡潔な文章に置換しております。

規定 販売 貸出し 展示
  1. 犬又は猫の展示は、午前8時から午後8時までの間に行うこと
  2. 特定成猫※の展示は、午前8時から午後10時までの間に行うこと
  3. ②の場合は1日の特定成猫の展示時間は12時間を超えてはならない
  1. 長時間連続して展示を行う場合には、必要に応じてその途中に展示を行わない時間を設けること
  2. 特に犬又は猫の場合は、犬又は猫が休息できる設備に自由に移動できる状態を確保すること
  3. ②が困難な場合は、展示を行う時間が6時間を超えるごとに、展示を行わない時間を設けること
※ 特定成猫とは次のいずれにも該当する猫をいう
 ・生後1年以上であること
 ・午後8時から午後10時までの間に展示される場合には、休息できる設備に自由に移動できる状態で展示されていること

動物の展示に関する規定です。犬や猫は原則として午前8時から午後8時までの間でのみ展示可能です。これは販売業者、貸出し業者、展示業者いずれであっても従わなければいけません。

また、長時間展示されることによる動物のストレス等を考慮した規定もあります。これは貸出し業者には適用されません。そもそも貸出し業者ではこのような状況にはならないからです (なる場合は展示業の登録が必要な可能性大)。

動物の輸送

動物の輸送に関しては輸送設備に関することと輸送設備以外に関することが規定されています。

輸送設備

以下のように規定されています。文章は簡潔なものに置換しております。

  1. 輸送設備は、衝撃による転倒を防止すること
  2. 輸送中は、常に動物の状態を目視 (監視カメラ等も含む) により確認できるよう必要な設備を備えるか体制を確保すること (航空輸送は除く)
  3. 輸送する動物の種類及び数は、輸送設備の構造及び規模並びに輸送に従事する者の数に見合ったものとすること
  4. 輸送設備は、動物が自然な姿勢で日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有すること※
  5. 輸送設備は、定期的な清掃及び消毒の実施により、清潔を保つこと
  6. 必要に応じて空調設備を備える等により、動物の生理、生態等に適した温度、明るさ、換気、湿度等が確保されるようにすること※
※ 動物の健康及び安全を守るための特別な事情がある場合は除く

輸送設備では動物の安全とストレス等を考えた規定があります。転倒防止は勿論、監視できるようにすることや、人員の確保、動物が窮屈に感じないような広さの確保などがあります。

輸送設備以外に関すること

以下のように規定されています。文章は簡潔なものに置換しております。

  1. 動物の種類や健康状態等に応じ、餌の種類を選択し、適切に給餌・給水を行うこと※
  2. 動物の疲労又は苦痛を軽減するために、輸送時間はできる限り短くし、輸送中は必要に応じて休息又は運動のための時間を確保すること
  3. 衛生管理、事故及び逸走の防止並びに周辺の生活環境の保全に必要な措置を講じること
  4. 販売業者及び貸出し業者は、その飼養施設に輸送された犬又は猫については、輸送後2日間以上その状態 (下痢、嘔吐、四肢の麻痺等外形上明らかなものに限る) を目視によって観察すること
※ 動物の健康及び安全を守るための特別な事情がある場合は除く

設備以外では、輸送中に適宜休息を入れることや、輸送後に動物の状態を観察する義務等が規定されています。特に幼い動物だと輸送後に体調が悪くなってしまうこともある為です。

おわりに

本コラムでは第一種動物取扱業における動物の展示と輸送に関する法的要件を解説いたしました。

ペットショップ等では動物が一定時間シャッターのようなもので隠されていることがあります。そういったものの裏側には本コラムで解説した規定等が根拠としてあるわけです。

展示や輸送を行う場合でも、可能な限り動物にとって負担の少ない方法で行われることが望ましいです。

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